ここに、岡上景能という農民思いの代官がいました。

ある時、この地を見回っていた景能は言いました。

「この土地は水が無いのでいつまでたっても荒れ地のままだ。このままではせいぜい馬を放し飼いにするくらいしかできない。水があれば、田んぼや畑ができて、ここに住む農民の暮らしも豊かになるのだが…・」

これを聞いた家来は言いました。

 「景能様、確かに農民の暮らしは貧しく、困っています。わき水もなく、雨水だけに頼っている今のままでは、どうすることもできません。」