令和8年度 群馬県当初予算編成にあたり、令和7年10月3日(金)に令和8年度 群馬県当初予算に対する政調懇談会が開催され、当会から熊川会長をはじめ各地域の土地改良事業推進協議会会長、当会役職員が出席し、農業農村整備事業の推進への理解とより一層の支援を要望しました。
また政調懇談会終了後、群馬県 岸農政部長、群馬県 宮前県土整備部長に対して要望事項を説明し、両部長に要望書を手渡ししました。
以下、要望書全文
要望書(農政部)
要 旨
農業農村整備事業の推進につきましては、平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
現在、国際社会は、地球規模の異常気象、ロシアのウクライナ侵略、世界的な物価高騰、食料生産・供給の不安定化など、様々な問題に直面しています。
また、農業・農村では、農業者の高齢化や減少により、営農の継続やそれを支える農地及び農業用水の保全管理が困難になるなど、多くの不安を抱えております。
国では、これらの国内外の様々な問題に対応していくため、令和6年に食料・農業・農村基本法が改正されたことを受け、令和7年4月に土地改良関係者の意見が反映された土地改良法の改正が行われると共に、新たな食料・農業・農村基本計画が閣議決定され、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推し進めることとしております。この農業構造転換集中対策期間において、土地改良は、まさに一丁目一番地であり、生産コストの低減を図るための農地の大区画化を推進する農業農村整備事業は、重要な役割を果たすものとなります。
土地改良政策に関しては、 これまでもその時々の状況に応じて制度の見直し等を行いつつ、農地の大区画化や汎用化・畑地化、担い手への農地の集積・集約化、スマート農業の展開に向けた基盤整備、老朽化が進む農業水利施設の維持・更新や緊急的な補強、洪水被害防止対策やため池の耐震化等の農村地域の防災・減災対策などを進めて参りました。
今般の土地改良法の改正は、人口減少が進む農村において、土地改良区をはじめとする関係団体の役割は、生産基盤を守るために欠かせないものであり、競争力のある農業を支えると共に食料安全保障の強化や国土強靱化、中山間地域の活性化に向け、より一層重要になります。
このような状況の中、県では、農業分野における最上位計画として位置づけている「群馬県農業農村振興計画2021-2025」、農政部の部門計画として展開されている「群馬県農業農村整備計画2020」が目標年度を迎えております。
これまで、魅力ある産業として発展し続ける力強い「農業」を実現するため、「農業の収益性向上を図る生産基盤整備」と「持続的な農業用水の安定供給」に係る様々な政策が着実に実施されてきました。次期「農業農村振興計画」及び「農業農村整備計画」においても、国の農業・農村施策と整合を図りつつ、収益力の高い持続的な農業、安全で持続的な農村を実現できる政策が展開されることを切に願うところであります。
私共、群馬県土地改良事業団体連合会と県内土地改良事業推進協議会では、県の執行方針に基づき、農業農村整備事業の一層の推進を図って参りたいと考えております。
つきましては、令和8年度の当初予算編成にあたり、次の事項について特段のご高配を賜りますようお願い申し上げます。
記
1 農業生産力強化に向けた農業基盤整備の推進について
担い手への農地集積を図る農地整備と耐用年数を超える農業水利施設の保全整備、防災減災事業等の積極的推進を図るため、新規地区の採択と予算の確保
(1) 農業競争力強化基盤整備事業による各種農業基盤整備
15地区(継続14、新規1)
○農地中間管理機構関連 1地区(継続1)
○農地整備事業 3地区(継続3)
○水利施設等保全高度化 11地区 (継続10、新規1)
(2)農山漁村地域整備交付金による各種農業基盤整備
7地区(継続7)
○農地整備事業 3地区(継続3)
○水利施設整備事業 3地区(継続3)
○農村集落基盤再編・整備事業 1地区(継続1)
(3)農村地域防災減災事業による各種農業基盤整備
15地区(継続10、新規5)
(4)農地耕作条件改善事業による各種農業基盤整備
5地区(継続2、新規3)
(5)農業水路等長寿命化・防災減災事業による各種農業基盤整備
20地区(継続7、新規13)
2 農業水利施設の保全と管理に対する支援について
農業者の高齢化や減少等により、適切な維持管理をすることが困難になってきている農業水利施設の適切な施設運用、管理手法の確実な継承など、土地改良区における管理の効率化と体制強化を図るため、下記事業の強力な推進と予算の確保
(1)施設の管理系事業
○基幹水利施設管理事業 5地区(継続5)
○水利施設管理強化事業 8地区(継続8)
○土地改良施設維持管理適正化事業 20施設
3 ため池の防災、減災対策の推進について
地震や豪雨等の自然災害時に、下流域の人命や社会基盤・農業基盤への被害が甚大となるため池の防災、減災対策の強力な推進と予算の確保
(1)農地防災減災事業
6地区(継続4、 新規2)
(2)農業水路等長寿命化・防災減災事業
1地区(新規1)
4 日本型直接支払交付金の活動推進について
過疎化・高齢化等の進行に伴う集落機能の低下により、適切な保全管理が困難となってきたため、農地・農業用水等の資源を地域ぐるみで保全管理を行う取組の推進と予算の確保
(1)多面的機能支払 農地維持 305組織
(2)多面的機能支払 資源向上(共同、長寿命化) 231組織
5 再生可能エネルギーの推進について
農村地域に豊富に存在する水・土地などの資源を再生可能エネルギーの生産に活用し、土地改良区が農業水利施設の適正な維持管理を行うために取り組む、小水力発電・太陽光発電の積極的推進と予算の確保
(1)事業啓発推進への支援
6 県単公共事業の推進について
県単公共事業は、国庫補助事業の実施要件に満たない小規模な農村整備を対象として、県費補助で対応できる有効な事業であり、農村地域からの要望が高まっている。このため小規模農村整備事業予算の確保
(1)小規模農村整備事業
・地域の要望に基づく当初予算の確保
(2)防災重点農業用ため池等緊急整備事業
3地区(継続2、新規1)
7 国土調査の推進について
令和6年度末における本県の地籍調査の進捗率は、36.3%と遅れているため、休止・未着手の市町村の事業化の推進と継続地区の予算の確保
19市町村
8 農地地図情報システム(水土里情報)の活用について
県農地中間管理機構が行う農地中間管理事業への積極的な連携・支援のため、当連合会が整備・運用している農地地図情報システム(水土里情報)の活用並びに基盤整備、担い手への農地集積・集団化に関する土地改良区及び当連合会の機能・技術・情報を活用していただきたい。
要望書(県土整備部)
要 旨
農業集落排水事業の推進につきましては、平素から格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
本県は、「首都圏の水がめ」として重要な役割を担っており、農業集落排水事業は、農村地域から排出されるし尿や生活雑排水を処理し、健全な水環境を維持すると共に、処理水や汚泥を農業生産に再利用するなど、循環型社会の構築に大いに寄与しております。
現在供用されている110地区の農業集落排水施設は、設置後20年以上を経過している施設が6割を超えており、老朽化と共に、頻発化・激甚化する自然災害に対する脆弱性が懸念されています。
このため、適時・適切な更新整備を推進、施設の集約・再編、施設規模や処理方式の適正化、省エネ等の新技術の導入は、今後益々重要なものとなります。
また、農業集落排水施設は、維持管理費の8割を占める電気料金及び汚泥処理費等の軽減が求められており、市町村においては財政状況が逼迫する中、ストックマネジメント手法に基づき、「機能診断」の実施や「最適化構想」の策定を行うなど、計画的な「改築・更新整備」に取り組んでいるところです。
群馬県汚水処理計画においても、人口減少社会下における情勢の変化を踏まえ、地域や集落の状況などに適切に対応し、最適な配置計画とすると共に、広域化・共同化による市町村維持管理費の負担軽減を方針として位置付けております。
私共、群馬県土地改良事業団体連合会と県内土地改良事業推進協議会及び市町村では、公共用水域の水質を保全し、住民の生活環境を守るため、農業集落排水施設の持続的な機能発揮等に向けて、微力ではありますが寄与して参りたいと考えています。
つきましては、令和8年度の当初予算編成にあたり、次の事項について特段のご高配を賜りますようお願い申し上げます。
記
1 改築・更新事業の計画的・継続的な実施について
既存の農業集落排水施設の改築・更新を計画的に実施するための事業推進
(1)農山漁村地域整備交付金
○農業集落排水事業(改築・機能強化) 1地区(継続1地区)
・継続 前橋東部(前橋市)
(2)農村整備事業
○農業集落排水施設(強靱化型) 2地区(継続2地区)
・継続 荒砥北部(前橋市)
新 屋(前橋市)
○農業集落排水施設(高度化型) 1地区(新規1地区)
・新規 毛里田北(太田市)
2 既存施設の調査計画策定について
既存の農業集落排水施設の改築・更新に係る調査設計、計画策定、並びに維持管理適正化計画策定に係る新規地区の採択
(1)農山漁村地域整備交付金
○農業集落排水事業(調査計画、維持適正化) 1地区
・富岡(高崎市)
(2)農村整備事業
○農業集落排水事業(調査計画策定) 1地区
・中江田(太田市)
○農業集落排水事業(計画等策定) 4地区
・書 上 (伊勢崎市)
・赤堀西野(伊勢崎市)
・長 岡(榛東村)
・広 馬 場(榛東村)